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ええ。
ところがですね・・・やられました。
「大変混雑している為、後ほど・・・」
って。
ええっ!? も、もしかして、もしかしなくても。
そうです。
記事が全部消し飛びましたorz
そんな訳で「コイトツ」の連載を始めたんですが。
shiro作品には珍しくコメディだったりします。OLとモデルとイケメン。
なんとまぁ珍しい。という感想は友人知人でしょうか。
自分でも思います。こんな軽い小説書き下ろすのハジメテ。
ちなみに、軽い=手抜き、ではありません。本人は頑張ってます。
3本の連載を抱えたお陰で、これからは頻繁に更新しなくては、と思っています。
書きたい作品は沢山あるのですが、同時進行で書き下ろせるのは3本が限度だなぁ。
近々粉雪をアップします。
ブログで書き辛い部分はサイトの方に加筆する場合がありますので、そこはご了承ください。
今のところは大丈夫ですけどね。
では。
来てくださった皆さん、ありがとうございました。
哀しい思い出が多い中にも、救われた記憶があるからだ。
私に生まれて初めての温もりを与えてくれたのは、病院の看護師達であったし、
優しさを知らなかった私に絵本を読み聞かせ、添い寝をしてくれたのも看護師達だった。
両親という存在と別れたのも病院であった。
ある日、母親という存在は、私の両肩を痛いほど掴み、医師に詰め寄った。
この子の心臓を移植できないのか、と。
父親という存在もそれに続いた。
他人の子供なら無理でも、ウチのコなんだから使ってくれ、と。
兄の心臓は、既に海外移植を断念せざるを得ないほどに悪化していたのだ。
そうなると、国内での移植しかない。
だが、ドナーがそうそう見つかる訳もなく、兄の命は風前の灯火だった。
私の両親という存在は、息子の命を救う為、娘の心臓を使ってくれと医師に迫ったのだ。
医師は青褪め、児童相談所に通報し。
結果、両親という存在はカウンセリングの為精神科へ入院。
私はそのまま施設に入った。
その後、一度も両親という存在にはあっていない。
兄は、その日から数日後に亡くなった。
私は、それから施設という施設をタライ回しにされた。
何処の施設も私の受け入れに難色を示したのだ。
私の兄は、いわゆるアイドルと呼ばれる存在だった。
赤ん坊の時から幼児商品のモデルを務め、小学校に入る頃にはドラマの子役、
映画の声優までもこなす人気の芸能人。
元々サラリーマンだった父と普通の専業主婦だった母は、息子の誕生とデビューを
機に個人プロダクションを経営。
兄の人気が上がるにつれ、セレブ気分でテレビにも頻繁に顔を出していた。
だから、兄の死後。
病院での出来事が外部に知れると、ワイドショーは毎日のように死んだ兄と、その
妹の心臓を移植しろと医師に詰め寄った鬼畜な両親の話で盛り上がってしまった
のだ。
それはそれは、人道にも劣る親と、悲劇の娘として暴かれる私の生活。
何処の施設も、ワイドショーに取り上げられる少女Aの引き取りを拒否したのは仕方ない
事だったのだろう。
そんな私が最後に辿り着いたのが、小さな教会の運営する孤児院だった。
春になると、庭の大きな桜の木に満開の花が咲く小さな教会。
ボランティアと、信者の寄付によって運営される貧しい施設。
雨が降ると、施設の食堂の半分は雨漏りで床が濡れ、時々ツンとカビの臭いがした。
アジア系の混血児の多いその施設で、私は陰湿なイジメに合いながら暮らし。
そして、6歳の春。
彼に出逢った。
何も望まない貴女(ひと)だった。
養父であるウィンに連れられ、ディアンと共に入った教会。
日本の片隅の町にある。
小さな小さな施設。
町自体は都会と呼ばれる大きな都市であったが、教会はその都会の片隅にひっそりと存在
しており、更に孤児院と呼ばれる施設は古く、小さく、隠しようもなく貧しかった。
17年ぶりだ・・・。
そう言って懐かしそうに庭を眺めるウィンの目に、あの大きな木はどう映っていたのだろう。
祖国の邸(やしき)にも、そういえば同じ桜の木があった。
養子としてディアンと共にウィンに引き取られた時、新しい住まいとなった邸の庭で、オレ達は初め
て桜の花の咲き誇る様を見た。
満開の桜。
けれど散り急ぐ花。
ディアンと二人。
その大木の下で食事をするのが好きだった。
ウィンには、何か大切な思い出があるようだったが。
そのクセ、彼は桜に近付こうとはしなかった。
邸の自室から見える場所に桜を植え、それを毎年窓から眺め見る。
花が降り注ぐように散り出すと、切なげに俯いて、その花びらをオレ達に拾わせた。
桜には匂いがない。
そんな花びらを小瓶に詰めて、毎年、毎年、彼は部屋の片隅に飾っていた。
何の意味があるのか。
それを知ったのは随分と後の事だった。
あの貴女(ひと)と再会した時のウィンの顔を、今でも忘れる事は出来ない。
彼が、あんな眼差しで女性を見るなんて。
優しさと、愛情と、切なさと、少しの戸惑いと。
その入り混じる感情は、彼女の見開かれた瞳からポロリと零れた涙に瓦解して・・・。
あんな悩ましげな彼を、オレもディアンも知らなかった。
彼は、無言のままにあの貴女(ひと)を抱きしめ、無言のままに髪に顔を埋め、ゴメンネ・・・、と
囁いた。
戸惑う貴女(ひと)の白い頬を大きな両の手で挟み、その濡れた瞳に自分を映して儚く笑う彼の横顔。
「ウィン・・・。」
震える優しい声に名を呼ばれた刹那の、苦しげな彼の表情。
彼の止まっていた時間が、その瞬間に動き出した。
そう・・・。
あの瞬間まで、彼の時間は止まっていたのだ。
16年一緒に暮らして来たのに。
オレ達は、彼の事を何も知らなかった。
あの貴女(ひと)と出逢って、オレ達はそれを痛烈に自覚した。
彼が、どれほどあの貴女(ひと)を愛していたのか。
どれほどあの貴女を愛し、あの貴女を求め、狂っていたのか。
そして、その事が、オレ達の運命を大きく変えてしまうなんて・・・。
「・・・。」
プロペラの爆音に掻き消されたその名を呟く度、胸の奥がキリキリと痛む。
泣かせたかった訳じゃない。
傷つけたかった訳じゃないのに。
舌の上に広がる苦味。
これは、あの日味わった涙の味か。
それとも・・・。
突然なんだ?って感じですが・・・新連載。しかもblogでの、のなぞ。
そもそも、書きたい作品は山のようにあるのに、最初に連載を始めたのは超がつく長編・・・(ばか・・・ばかばか、自分のばか(ToT))が原因です。
女神は時間が凄く掛かる作品なのに・・・何やってんだよ、shiro。
なので、何か簡単に書き下ろせるものを、と悩みまして。そうこうしている内に、ゴージャスな男たちがか弱い女性にデレデレなシリーズがポンッと脳内の倉庫から自己主張してくれまして。
この作品なら頻繁に更新できるな~なんて思ったら、甘かった・・・サイトのページ作るのに時間がorz
ならば、とblogへ。
しかし問題なのは、三角関係だの、拉致監禁だの、色々とR指定な内容目白押しだった事。
そこはソフトに・・・ソフトに・・・と現在頑張っている訳です。
ちょっと変わった文体なのですが、まぁ、ウチの作品だから(どー言う理由だ)仕方ないという事で。
ちょこちょこ更新出来る連載を抱えたお陰で、女神の方はゆっくりじっくり腰を据えて書けるかな。
取り敢えず頑張ります。
手にした小さなメモは、捨てたくて、捨てなくてはならなくて、けれど捨てられなかった過去の残骸だ。
二つの携帯番号・・・。
くしゃくしゃのそれは、私の運命のなれの果て。
まだ・・・日本に・・・いたんだ。
あのまま某国に帰ったのだと思った。
あの貴方(ひと)の棺と一緒に。
「ウィン・・・。」
最後に見た白磁の顔を、私はあまり覚えていない。
まだ、たった一年半しか過ぎていないのに。
この躰は、その指先の冷やりとした細さまで覚えているのに。
ウィン・・・。
私を犯して、壊して、狂わせた貴方・・・。
私を犯して、壊して、狂わせて、そのまま逝ってしまった。
共に過ごしたのは一年ほど・・・。
ううん。違う。
過去の時間へと戻れば、その一年に半年が加わる。
それでも、たった一年半だ。
冷たい雨が、そろそろ雪にかわる。
青と灰色の混ざり合う空から、白い結晶が降り始めるまでに彼は来てくれるだろうか。
冷たい雨は心地よい。
体温が下がれば死ねるのだと、幼い頃に言われた記憶。
産まれたくて生まれてくる命などない。
命は、親も時代も、その種さえも選ぶ事などできないのだ。
命が選ぶ権利を与えられているのは、きっと、死だけだ。
その死だとて、選ぶ事はできても、得るには勇気と、運と、覚悟がいる。
人が思うほど、死を望む人間が死ぬ事は簡単ではないのだ。
病院の門が遠い。
でも、あの門から、彼は来るのだろう。
だから私は待っている。
雨に濡れながら。
広い駐車場を持つこの場所は、あの貴方(ひと)が逝った近代的な建物からは程遠い。
けれど、同じ病院という建物だ。
背後に建ちつくす、くすんだ白い壁。
あちこちに罅が入って、薄暗い廊下。
静まり返った外来の待合室。
病院独特の匂い。
冷たいシャワーの雨。
何処かの町で雪が降った
バスルームに入る前、ニュースが降りしきる雪を映し出していた。
最高級ホテルの一室。
冷えたままの身体に新しいスーツを纏って、某ブランドの高級ソファに腰を下ろした。
ベッドに横たわる女には目もくれず窓の外を眺めていたのは、タバコ一本が吸い終わるまでの時間。
そろそろマンションに戻らなくては・・・。
空港から真っ直ぐホテルに来た。
このまま宿泊するつもりだったが、なぜか、その瞬間、マンションに戻ろうと思った。
テレビが映し出していた雪の映像のせいだろう。
あの貴女(ひと)は雪が好きだった。
ベッドで眠る女にメモを残し、小さなトランク片手に部屋を出る。
メモと一緒に札束ひとつ。
日本へショーの為にやって来たモデルには、この程度の金は出さないと後々面倒だ。
思えば腐れ縁。
ビジネスと都合を考えると丁度良い女。
世界中でVIPを相手にしているから、女自身も面倒は嫌う。
大学時代に知り合ったから、既に十年の付き合いだろうか。
スケジュールが合うと身体を重ねる関係。
友達以上恋人未満。
それで構わないと言う頭の良い女。
狡猾だが、性格が悪い訳ではない。
ただ、意地っ張りで、多少自信過剰で、何処かお人よし。
だから続いている。
都合が良くて、身体の相性が良い。
女など、それで充分。
貴女に出逢うまでは、それが自分の常識だった。
「・・・アロー。」
『ディアン。』
「どうした?」
『数日連絡が取れなくなる。』
「トラブルか? 珍しい。」
『まぁな。仕事が終わったら連絡する。』
「解った。」
『ディアン・・・。』
「ん?」
『いや、いい。』
ホテルのエントランスを出る直前、携帯が鳴った。
相手は双子のように育った男。
歯切れが悪い会話はトラブルのせい。
勝手に、そう思った。
その迂闊さに、後々自分を嫌悪する事になる。
元より、私は自己嫌悪の塊だ。
この一年半、特にそれが酷くなった。
他人(ひと)の知る外見とは裏腹。
内面の醜さは目も当てられない。
だから・・・あの貴女(ひと)は消えた。
あの貴女が妊娠していた事も、その子供を中絶していた事も、知ったのは最近だ。
元々優しい貴女だから、どれほど辛い思いをしたのか。
気づくのはいつも後。
すべてが終わった後ばかり。
早く、早くこの手に取り戻したい。
そう心は急くのに。
でも、居場所が解らない。
狭い日本という勝手な思い込みで、打つ手は後手後手。
あの貴女は完全に消えてしまった。
にこやかな笑顔で見知ったドアマンに見送られ、黒塗りのハイヤーへ。
マンションへは一時間と少し。
ふと、気が緩んだ瞬間に、あの貴女の涙の感触を思い出した。
泣かせてばかり。
悲しませてばかり。
胸ポケットから二つ折りの小さな携帯を取り出した。
待受は、あの貴女が暮らしていた教会に咲き誇る桜。
あの桜の木は、唯一、あの貴女が安心できる場所だった。
「姫・・・璃羽(りう)・・・。」
囁く名にはいつも痛みが付き纏う。
『姫』という愛称は亡くなった私の養父・ウィンが付けたもの。
ストラップにしている銀の鎖に通したエメラルドの指輪がキラリと揺れる。
この携帯の番号を知っているのはあの貴女だけ。
一度も、鳴った事はないけれど・・・。
そう・・・一度も鳴った事はなかった・・・。
だから、気付かなかった。
シャワーの間に鳴った携帯。
それを受けたのはベッドに横たわっていた女。
無言で切れた。
ただの間違いだと女は勝手に判断した。
間が悪い。
悪過ぎる。
この時。
着信歴を、どうして確認しなかったのか。
そうすれば、エントランスで受けた携帯の意味などすぐに解ったはずなのに。
歯切れの悪い会話。
その意味を。
いつもいつも、後悔ばかり。
あの貴女(ひと)と出逢ってから。
私は静かに壊れ続けている・・・。
小さな四角い窓から空を見上げる。
青と、灰色と、白。
そろそろ雪が降り始めるだろうか。
ぼんやりとした意識で私は空を見つめ続ける。
四角い窓の外。
青と、灰色と、白。
これが私の世界。
私の心の世界。
他の色なんて知らない。
青と、灰色と、白。
それ以外の色なんていらない。
私の世界は三色で出来ている。
「お前なんて産むんじゃなかった。」
最後に聞いた母親の言葉だ。
「ウチに娘なんていない。」
それは父の言葉だったか。
私にとって、親という存在の記憶は幽かだ。
確か、兄もいたような気がする。
その声は、覚えていない。
記憶にあるのは、兄が死んだ事実だけだ。
この世に産まれてはならない人間が、この世に存在し続ける。
それは、想像するより遥かに辛い事だ。
生きているのは、死なないからだ。
自ら死ぬほどの価値もない命。
それが私の命。
ああ、そういえば。
この命を欲しいと言った人がいた。
かつての親という存在だった。
私の心臓が欲しかったのだ。
心臓移植。
その為に。
兄は、心臓が悪かった。
確か、そうだ。
幼い頃の記憶は曖昧で。
でも、笑った記憶はない。
曖昧な記憶の中に、笑った記憶だけがない。
それを、私ははっきりと覚えている。
ああ、雪が降りそうだ。
そろそろ本格的な雪の季節だ。
小さな四角い窓の外。
青と、灰色と、白。
私の世界は、それだけの色で出来ている。
再会 。
携帯の向こうから、震えるような囁きが聞こえる。
「 に・・・いるの・・・。」
泣き疲れた声。
「わたし・・・の・・・せいで・・・。」
一年半ぶりに聞く声。
「おかね・・・必要・・・なの・・・。」
探しても、探しても、見つからなかったもの。
「一生・・・はたらいて・・・かえす・・・だから。」
捜しても、捜しても、捜しても、何処にもいなかったのに。
「たすけて・・・くだ・・・さい・・・。」
今にも消えそうな声で。
「たすけて・・・スティーブ。」
その存在を知らせて来るなんて。
「姫ちゃん・・・もう一度、居場所を教えて。すぐに、行くから。」
迂闊だった。
まさか、そんな田舎にいたなんて。
農家だと?
肉体労働なんて出来る貴女(ひと)じゃないのに。
一年半。
捜して、捜して捜して。捜して。
見つからないはずだ。
酪農と農業の町だと。
彼女がそんな小さな山村にいたなんて。
だが、生きていてくれただけで有難い。
それだけで、救われた気がする。
助けて、と。
その一言でも充分だった。
貴女が生きている。
それだけで。
高層マンションの屋上。
呼び出したヘリに飛び乗る。
片手には札束の詰まったアタッシュケース。
貴女の為なら何でもしよう。
最初から、そのつもりだった。
貴女と出逢ったあの日から。
ずっと。
泣かせる事しか出来なかった。
本当は笑っていて欲しかったのに。
それは、許されない現実で。
慰めの言葉すら口には出来なかった。
あまりにも、白々しくて。
「姫ちゃん・・・璃羽(りう)・・・もう、何処にも消えないでくれ。」