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「雨だね・・・。」
「うん。」
「姫ちゃん。雨、嫌いだね。」
「うん。」
「早く、雪になるといいね。」
優しく肩を抱いて、私の隣に立つスティーブ。
笑えるくらいの身長差。
ここにディアンさんがいたら、私はドーベルマン二頭に挟まれたチワワだ。
あるいは、二頭の豹に見下ろされるハムスター。・・・こっちの方が合ってるかも。
そんな様を想像してくすくす笑ったら、ガラスの中のスティーブが小さく首を傾げた。
夜空を透かし見る窓ガラスはまるで鏡だ。
私の醜い心まで映し出されそうで怖い。
勝手に逃げたのに。
困った時だけ、こうして甘えて。
まるで、すべてが元に戻ったように。
私。
当り前のようにスティーブと並んでる。
「指輪・・・ありがとう。お礼、言うの遅くなっちゃった。ごめんなさい。」
「お守りだよ。安物だけどね。飯田には本店から取り寄せろって言われた。」
「そんな。とっても綺麗だよ。サイズもぴったり。本当は高かったでしょ?」
「それが・・・この近所で衝動買いしちゃったから。ゴメン。ホント、安物。」
「ううん。値段なんていいの。安くていい。私。高価な物をもらっても、どうして
いいのか解らないもの。」
左手の中指。
くすぐったいほど綺麗な輝き。
本当はとても高い物だって解ってる。
ひと眼で解るよ、スティーブ。
私なんかにはもったいないって事も。
解ってるんだ。
でも、スティーブが着けてくれたから外せない。
外したくないよ。
いつもいつも、申し訳なくて涙が出そう。
スティーブも、ディアンさんも、私に優し過ぎるのだ。
R-18指定。今夜サイトにUPの予定。